さくら事務所ホームインスペクション本部(住宅診断・住宅検査)

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[一戸建て工事中のチェックポイント]
新築一戸建て工事中のチェックポイント④ コンクリートのかぶり厚

2017-10-11

配筋検査今回は、実際の新築工事現場でもっともトラブルになりやすく、さくら事務所の工事中の第三者現場チェックサービス「新築工事チェック」でも注意が必要なポイント、「コンクリートのかぶり厚」について解説します。


鉄筋を包み込むコンクリートの厚み「かぶり厚」


コンクリートの中に鉄筋が入っているのはなぜかご存じですか?


実は、コンクリートは押しつぶされる力(圧縮力)には強いのですが、曲げる力には弱い材料なのです。逆に、鉄は押しつぶされる力に弱く、曲げる力には強い性質をもっています。そのため、お互いの弱点を補うために、通常コンクリートの中には鉄筋が入っているのです。


そして、この鉄筋を包み込むコンクリートの厚みを「(コンクリートの)かぶり厚」と呼びます。


 


コンクリートはアルカリ性です。アルカリ性のコンクリートに囲まれている間、鉄筋は錆びません。しかし年月が経つにつれ、コンクリートは大気中の炭酸ガスと反応して徐々にアルカリ性が弱くなり、中性になっていきます。これを、「(コンクリートの)中性化」といいます。


コンクリートが中性化すると、中に入っている鉄が錆びやすくなります。この時に水などが入って鉄が錆びてしまうと、鉄筋がふくらんでコンクリートを壊し、強度が落ちるのです。強度が落ちてしまうとそれは事実上、鉄筋コンクリートの寿命です。


つまり、かぶり厚が厚いほど中性化するまでの期間を長くすることができ、鉄筋の錆びも防ぐことができるため、鉄筋コンクリートの寿命が長くなるのです。


コンクリートが中性化するスピードは品質や建物が建っている場所にもよるものの、10年で1cm前後とされています。たった1cmのかぶり厚の違いでも、耐久性では10年も違ってくることになりますね。かぶり厚は、建物の寿命にとってとても大切なものなのです。


 


建築基準法では、かぶり厚を以下のように規定しています。



・基礎の立ち上がりは外周側4cm、内側3cm

・その他の基礎部分は6cm



ところが実際の現場では、このかぶり厚が法律どおり確保されていないことがよくあるのです。


かぶり厚のチェック方法はとても簡単。

メジャー(コンベックスともいいます)で実際に測るだけです。

すべての箇所を測る必要はありません。現場をぐるっと見て、すき間が狭いところを重点的に確認するとよいでしょう。


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実際の現場ではかぶり厚を確保するため、上写真のような「スペーサー」というすき間をあけるものを使います。スペーサーが入っていると、かぶり厚は確保されやすいでしょう。


かぶり厚の足りないところが見つかったとき


配筋をチェックすると、かぶり厚の足りないところが見つかる場合があります。

かぶり厚は強度だけでなく、耐久性にも関わってくる部分。足りない場合は規定どおりに正しく直してもらいましょう。

かぶり厚が足りないケースには2通りあります。それぞれについての対処法を説明しましょう。


底面のかぶり厚が足りないケース


これは、底面に入れるスペーサー(サイコロとも呼ばれます)の数が足りないことがほとんど。地面を平らにならす作業が十分に行われていないときも、地面の凸凹が大きくなり、かぶり厚を確保しにくくなってしまいます。


対処法としては、スペーサーの数を増やしたり、スペーサーの大きさを一回り大きくする方法があります。


立ち上がり部分のかぶり厚が足りないケース


かぶり厚の不足は、実は底面よりも立ち上がり部分においてよくみられるもの。

立ち上がり部分のかぶり厚が足りないことに気がつくのは、以下のような場面です。



  • 基礎の配筋が終わったとき

  • 底面の打設が終わって立ち上がり部分の型枠を組んだとき


比較的、後者の場面で気づくことが多いようです。

基礎コンクリート工事の工程で底面のコンクリートを流し込むとき、基礎内側の立ち上がり部分の型枠は組まないのが一般的。そのため配筋の位置がずれていたとしても、その段階では気がつきにくいのです。


立ち上がり部分のかぶり厚が足りないのには、以下のようなケースがあります。



  • 鉄筋が斜めに立ち上がっている

  • 鉄筋の位置そのものがずれている


それぞれのケースについてみてみましょう。


【鉄筋が斜めに立ち上がっている場合】

鉄筋が斜めに立ち上がっているときは、鉄筋を正しい位置に曲げて直します。これを、「根もどし(ねもどし)」といいます。

基礎の配筋工事をする職人さんは通常、この根もどしのための工具を持っています。

根もどしの際、鉄筋をあまり急に曲げすぎると、強度に問題がでてしまいます。あまり急な角度で曲げないよう注意が必要です。

また根もどしが使えるのは、立ち上がり鉄筋の最も下の部分において、鉄筋と型枠までの距離(かぶり厚)が必要寸法を超えている場合のみ。立ち上がり鉄筋の最も下の部分のかぶり厚が足りない場合には、次のケースの説明を参考にしてください。


【鉄筋の位置そのものがずれている】

配筋のとき、鉄筋の位置がずれていた場合によく起こります。

なかには配筋のときは正しい位置であっても、底面のコンクリートを流す作業中に鉄筋がずれてしまうこともあります。


いずれにせよ、鉄筋は既に底面のコンクリートに埋まっているため、鉄筋の位置を移動させることがかなり困難。

そのときはかぶり厚が確保されているほうを基準にし、基礎の幅を広げて、かぶり厚を確保するのがベスト。

基礎の幅を広げて修正することに対しては、現場の職人さんが難色を示すこともあるかもしれませんが、基準を満たしていないだけではなく、自分の建物の強度や耐久性に関わってくることなので、しっかり修正してもらいましょう。


次回は、これらを踏まえ、ミスを防ぐためのポイントについて詳しく解説していきます。




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