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[一戸建て工事中のチェックポイント]
新築一戸建て工事中のチェックポイント⑤ コンクリートのかぶり厚の注意点

2017-10-31

新築一戸建ての工事中のチェックポイントを工程ごとにご紹介する本連載、最初からお読みになりたい方はこちらからどうぞ。


前回、コンクリートのかぶり厚について解説しましたが、今回はありがちな不具合事例とそれを事前に防ぐチェック方法についてご紹介します。


かぶり厚が足りない基礎には共通点が


さくら事務所の工事中の第三者現場チェックサービス「新築工事チェック」ではさまざまな業者の配筋チェックやコンクリート打設の立会いに行っていますが、かぶり厚が足りない基礎には、共通点があるのです。それはおおよそ以下のようなもの。



  1. 基礎の幅が12cmと狭い

  2. レベルコンクリート(捨てコンクリート)を流していない

  3. 地面がしっかりと平らにならされていない

  4. スペーサーの数が少ない

  5. スペーサーのサイズが小さい


順に説明していきましょう。


A.基礎の幅が12cmと狭い


現在多くのハウスメーカーでは、15cmの基礎幅が一般的。 一方、建売物件では、まだ12cmの基礎幅をたまに目にします。

図面上では、基礎の幅が12cmあればかぶり厚は確保できるはずですが、実際の現場ではどうしても多少の誤差が発生してしまうため不足してしまうことも。


実際の現場では、基礎コンクリートそのものに必要な鉄筋以外にも、各部を補強するための鉄筋(補強筋)や、基礎と土台を緊結するための下の写真のような、アンカーボルトという金物が入ります。 補強筋やアンカーボルトはそれぞれが1cm前後あるため、入れ方によってはかぶり厚が不足してしまうのです。


アンカーボルト


B.レベルコンクリート(捨てコンクリート)を流していない


レベルコンクリート(捨てコンクリート)は、基礎の精度を高めるために使われるもの。

しかし法律上、レベルコンクリート(捨てコンクリート)を施工する義務はないため、省かれる場合があります。 レベルコンクリート(捨てコンクリート)がない場合、地面に敷かれた割栗石の凸凹が、底面のかぶり厚と密接に関係してきます。 割栗石の凸凹が大きいと、かぶり厚が足りない箇所が出てきてしまいます。 スペーサーを置いたとしても、底面が平らではないところで作業中にスペーサーが傾いたり、外れたり、落ちてしまうことも。


C.地面がしっかりと平らにならされていない


これは、レベルコンクリート(捨てコンクリート)を流さず、地面に凸凹がある場合と同じ理由。

地面がしっかりとならされていなければ、かぶり厚不足の箇所がでてくることがよくあるのです。


D.スペーサーの数が少ない


かぶり厚を確保するために用いられるものの、その数自体が少ないことがあります。

立ち上がり部分においては、そもそもスペーサーを入れない業者も少なくありません。 底面の配筋作業には人が乗るため、どうしてもたわんでしまいます。本来は1mに1個前後、スペーサーを入れるのが理想。前述のとおり、スペーサーの価格は1つ20円前後です。適切に入れたとしても、家全体で数千円しかかかりません。 スペーサーの購入費は品質を確保するため絶対に必要なお金ですが、家全体からみれば微々たる金額。

スペーサーを省くなど、建物の性能に関わるのに完成後には見えない部分でコストを節約するような業者には、注意したほうがよいでしょう。


E.スペーサーの大きさが小さい


スペーサーを入れていたとしても、その大きさが小さいことも。

たとえば底面のコンクリートのかぶり厚は、法律では最低6cmが必要。この寸法を確保するために、6cmのスペーサーを入れていることがあるのです。これでは1mmも余裕がなく、場所によってはかぶり厚が不足する可能性が高いでしょう。 レベルコンクリート(捨てコンクリート)を流したとしても、地面の凸凹の誤差を1mm以内(1円玉の厚みより薄い)に納めるのはかなり困難です。

底面のかぶり厚を確保するために使われるスペーサー(通称:サイコロ)は、面によってその大きさが違います。それぞれ、4cm、5cm、6cmの大きさがあるので、方向が間違っていないかを確認してください。


スペーサー


コンクリートのかぶり厚のミスを事前に防ぐ方法


コンクリートのかぶり厚の工事ミスを事前に防ぐには、2つの方法が考えられます。


基礎の幅を、15cm以上にする


基礎の幅が12cmを標準としている場合、15cmに広げることをおすすめします。

基礎の幅が12cmだと実際の工事において、鉄筋の配置やかぶり厚の確保が非常に難しいことは、現場の職人さんが一番良く知っています。

以前、配筋のチェックに行った現場でのエピソードです。いつも15cmの基礎幅で仕事をしている職人さんでしたが、その物件の基礎の幅は12cmでした。その現場でもやはりかぶり厚不足のところがあり、直してもらいましたが、「かぶり厚が足りない所が出てくるから、できれば15cmで作りたい」といっていました。かぶり厚の問題は、現場の職人さんが肌で感じているのです。

住宅金融支援機構では仕様書において、基礎の幅を15cmにすることを「標準」としています。今日では基礎の幅を15cmとすることは、特別なことではありません。

一戸建ての基礎の型枠は、鋼製でシステム化されていて、基礎の幅を変えるのは簡単です。型枠を留める金具を12cmのものから15cmに変更するだけです。型枠を組む手間も、ほとんど変わりません。 基礎の幅を12cmから15cmにするのにかかる費用ですが、幅を広げて増えるものはコンクリートの量が主。ただコンクリートの量が増えるといっても、2倍や3倍になるわけではありません。せいぜい数立方メートルで、基礎全体の量からすると1割にもなりません。 コンクリートの価格は、1立方メートル当たり1万5千円前後。一般的な大きさの建物であれば、費用の増加は10万円にも満たないのが普通です。

ちなみに、ペットボトルのお茶やジュース(500ml・150円)で1立方メートルをいっぱいにすると30万円かかります。コンクリートはお茶やジュースよりも安いのです。 基礎の幅が15cmであれば、かぶり厚の心配はかなり少なくなります。またかぶり厚が厚くなるため、コンクリートの中性化も遅くなり、耐久性も高くなります。コンクリートの中性化スピードは10年に1cm前後ですから、基礎幅を12cmから15cmにすると、基礎の耐久性が15年程度長くなります。基礎の強度そのものも強くなります。

基礎の幅を広げることは、建物の強度や耐久性にとって大きいメリットです。

費用の増加と性能の向上を考えると、これほどコストパフォーマンスが高い項目は、建物全体を考えても他にないでしょう。標準の基礎の幅を12cmとしていたら、ぜひ15cmに広げてもらいましょう。


スペーサーの大きさに余裕を持たせる


スペーサーに、法律で定められたかぶり厚と同じサイズのものを使っていることが多々あります。

それでは工事の誤差に対する余裕がありません。法律で定められたかぶり厚より、余裕を持った大きさのスペーサーを使うのがよいでしょう。 大手のハウスメーカーでは、底面のかぶり厚を確保するためのスペーサーに7.5cmのものを使っています。法律の厚さに余裕が1.5cmあるため、かぶり厚に関してはまず問題ありません。




建物の強度、耐久性を担う大事な部分ですので、皆さん、安心できるような設計で臨みたいと思われるでしょう。

とはいえ大事なのは、その図面通りに正確に工事がされているかどうか?ということ。

大事なポイントだけでもプロにチェックしてもらうと安心です。


次回は、基礎と建物を繋ぐ大事な金物「アンカーボルト」と「スリーブ」について解説します。

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